シネロールはタブレットを使って短編映画を作るワークショップです。5人で1つのチームを組み、用意した脚本を映画化してもらいます。主に映画制作の経験がない方(学生、一般社会人、こども)を対象に実施しています。ワークショップに必要な時間として180分を目安にしています。安全に使える空間があれば、同時に50人以上の参加が可能です。学校や研修などで実施できる、手軽で楽しいワークショップです。
① 脚本を読む
② 説明を聞く
③ 役割を決める
④ タブレットで撮影をする
⑤ 最後に上映会をする
シネロールのおもしろさは「撮り比べる」こと。複数のグループが同じ脚本を使用して映画を作るので、出来上がった作品を見比べると、撮り方の違い、演じ方の違い、カット割りの違いなど、作品に対する解釈や表現の違いが明確に現れます。その違いを上映会を通して見比べることで、映画の表現に対する理解を深め、また、各作品の独自性を味わうことができます。
私たちはTVやネット動画や映画など、毎日大量の映像を見ています。それらの映像には様々な映像の技法が使われています。その技法について学校で習ったことはありますか?小学校や中学校では音楽や美術(図工)の授業があるのに、「映像の授業」や「映画の授業」というのはあまり聞いたことがありません。シネロールは映画の初学者・未経験者を対象にしており、体験から映画作りの基礎的な仕組みを学ぶことができます。この学びは、映画や映像の「読解力」を高め、広く映像作りに関心を持つための最初の一歩になると考えています。
19世紀の終わり頃に映画が誕生して以来、人々に見られてきたコンテンツの集積から、映画(映像)はさまざまな文法を確立しており、観客(視聴者)は見る側としてその文法を無意識のうちに認識しています。これは日本語の文法を学ばなくても、日本語が話せることに少し似ています。では、いざ映画の作り手になった時に、その文法を正しく使えるでしょうか?実のところ、シネロールで作られた作品は、映画として「正しい」文法のものもあれば、そうでないものもあります。または、そのどちらとも言えない、通例使われないような文法を自然に獲得していることもあります。シネロールで作った作品を皆で観賞し、省察することで、これまで無意識に知っていた映画の文法のことを、少しずつ言語化できるようになると思います。
シネロールは、映画の「シネマ」と役割演技の「ロールプレイ」を足した造語です。創作をするワークショップでは、役割分担を決めずに自由に行動・表現することが多いですが、シネロールではあえて役割分担を決めてから映画作りに取り組んでもらいます。監督、カメラマン、役者のいずれかを担い、役割という制約の中で思考・行動することを体験してもらいます。この体験が「チームにとって役割とは何か」を考えるきっかけになります。
映画の制作とは、分業と協働によって成り立っている職業現場です。ひとりひとりの仕事人がそれぞれに専門性や芸術的感性を持ちながらも、個々の仕事が最終的にひとつの作品に落とし込まれます。制作過程において、選択肢や解法が複数あるという場面に出くわしても、ひとつの答えを出さなければいけません。映画作りは「決めなければいけないこと」の連続なのです。
シネロールは映画作りのこの特色を、純度の高い形でワークショップとしてモデリングしています。そして、このモデルから類推をすることにより、参加者自身の社会生活において、自分の属するチームについての「気づき」を得ることを狙いとしています。チームによって異なる「決定のプロセス」をワークショップ後に省察すれば、より深い学びが得られると考えています。
上田謙太郎(映像作家)
10年以上にわたり数々のアートワークショップの記録映像を制作。青山学院大学特別研究員として苅宿俊文氏に師事し、「ワークショップデザイナー育成プログラム」での教材開発に携わる。また「逆転時間」「ドリコマ」「再現写真WS」などのワークショップも実践。「こども映画教室」ではチームリーダーや講師をつとめる。
長年ワークショップに関わってきた経験を生かし、短時間で映画作りの楽しさを味わえるワークショップを作りました。参加者の方に「映画ってこういう風にできているんだ!」「映画作りは楽しい!」と思ってワークショップを終えてもらうことを目標にしています。
学習効果を高める仕掛けと映画的なおもしろさを両立した脚本を若手の脚本家に書いてもらいました。
年齢層、目的、場所に合わせたプログラムの応用が可能です。以下の問い合わせフォームからご連絡ください。